1.一般項目 「平成8年2月 水質調査の基礎知識(近畿地方整備局近畿技術事務所)より抜粋」


水 温

外 観

臭 気 色 度 透視度 透明度
                            (6項目)


 水質というよりも水の状態を表す指標で、人間の感覚によって判定するものが主です。


 1)水温(water temperature:WT)
 水温は、水中に溶解している物質の化学的変化や生物の活動と密接な関係があるので、
 水質に大きな影響を与えます。(単位:℃)

 また、水温を測ることはその水の起源−河川水、地下水、伏流水、温泉、
 湖沼水、排水など−を判定する要素となります。



 2)外観(appearance)
 外観とは、ガラス容器などに汲み上げた水の清濁色相の状態をいいます。

 数値で表せるものではないので単位はありませんが、
 近畿地方整備局では外観コードを定めて表現の統一を図っています。

 外観の観察によって、水の汚染の有無や含有物質を推定できる場合もあります。



 3)臭気(odor)
 水の臭気は、排水や下水の混入、プランクトンや細菌の繁殖、
 地質、塩素処理などに起因します。

 臭気の原因となる物質は有機物が多いですが、
 硫化水素やアンモニアのような無機物によることもあり、
 また数ppb以下の低濃度でも強い臭気を発するものもあります。

 特に、近年上水関係で問題になっているのがカビ臭で、
 その原因物質としてジオスミン(geosmin)と
 2-メチルイソボルネオール(2-methylisoborneol:2MIB)が一般的に知られています。
 ともに10ng/l程度の超微量でも嗅覚によって感知され、
 その種類と濃度によっては土臭、墨汁臭、木臭にも感じられます。
 通常の浄水処理では・・脱臭できないため活性炭処理やオゾン処理が行われますが、
 完全な脱臭はなかなか困難です。
 これらの物質は 、土中の放線菌や、藍藻類のうちアナベナ(Anabena)属、
 フォルミディウム(Phormidium)属、オシラトリア (Oscillatoria)属などに属する
 ある種のプランクトンや付着藻類によって産生されます。

 なお、2MIBは下図に示すように、
 樟脳として知られるカンファーときわめて構造の類似した物質です。


 臭気もまた定量化して表すことは困難なので、
 人間の嗅覚によって臭いの種類やその強さの程度を判定しますが、普通、
 現地測定では臭気の種類のみ(採水直後のそのままの水:冷時臭)を、室内分析では
 試料を40〜50℃に暖めて、臭気の種類の他に臭気の強さ(TON)も判定します。

 なお、臭気の種類については外観と同様に臭気コードによる表現の統一が図られています。

 *TON(threshold odor number:臭気強度)

 臭気を感知しなくなるまで無臭水で希釈した場合の希釈倍率。(単位なし)



 4)色度(color)

  水はさまざまな原因で着色しますが、色度というのは、
  水中に含まれる溶解性物質およびコロイド性物質が呈する
  類黄色〜黄褐色の程度を指します。
  この色は、天然水に最もふつうに見られる色で、
  主な原因は地質からくるフミン質(腐植:土壌に含まれる有機物の一種)
  によるものですが、下水や工場排水の流入によることも少なくありません。
  また、給・排水管のさびなどによって濁り、
  水が着色したように見える場合もあります。
  一般に水の色は、濁りによるものよりも
  溶解性物質によるもののほうが衛生上注意を要するといえます。

  測定は塩化白金酸カリウムと塩化コバルトによる色度標準液の色と
  比較することによって行い、精製水1l中に白金1�咾�よび
  コバルト0.5�咾魎泙狆豺腓猟菴Г冒蠹�するものを色度1度とします。

  色に関する項目としては、他に次のようなものがあります。

  *刺激値Yおよび色度座標xyによる表示

   色度がフミン質等による類黄色〜黄褐色を対象とするのに対して、
   すべての色を対象とする測定法。

   ろ過した試料について可視光線(400〜700nm)の各波長の透過率を測定して、

   3刺激値XYZ

   (色に対する視神経の感じ方が3種類あり、
    その3種類の刺激の割合で色を識別知覚しているとの考え方に基づいて、
    刺激を与える波長を3系列にまとめて集計して求めた値)

   と

    色度座標xy(x=X/S、y=Y/S 但しS=X+Y+Z)

   を求め、

   Y(明度)とx(赤の強さ)y(緑の強さ)の数値によって色を表します。
   x,yを刺激純度図上にプロットすることによって、
   刺激純度%(鮮やかさ)と、主波長(色相)が求められます。

  *水色

   水面を垂直上方から見たときの水の色をいい、標準の色と比較して判定します。

   色の標準としては、湖沼の藍色〜黄緑色の程度を示す
   フォーレルの水色標準液がもっとも一般的ですが、
   他に黄緑色〜褐色の程度を示すウーレの標準液や、
   JISの新産業色票に基づく水色コードなども用いられます。

   湖沼の富栄養化度の一つの目安となりますが、水質の他に水深や天候、
   周辺の状況などに強く影響され、意義が必ずしも明確でないため、
   現在は測定されることは少ない項目です。



 5)透視度および透明度(どちらもtransparency)
  透視度は、水中に含まれる浮遊物質や
  コロイド性物質などによる濁りの程度を示す指標で、
  透視度計とよばれる下部に流出管のついたメスシリンダーに水を入れ、
  底部の白色円板にひかれた二重十字(黒線の太さ 0.5�弌�間隔1�弌砲�
  識別できる限界の水の厚さを1cmを1度として表したものです。

  透明度は、透明度板(セッキー円板)とよばれる直径30cmの白色円板を
  水面から識別できる限界の深さをmで表したもので、
  やはり水の濁りの程度を表す指標です。

 透明度は主に湖沼、海洋などの水深の大きい水域で測定されます。


「平成8年2月 水質調査の基礎知識(近畿地方整備局近畿技術事務所)より抜粋」