雨量観測



1)国土交通省の雨量観測
 国土交通省河川局では、治水、利水計画の立案、洪水予報、水防警報の発令及び河川管理、その他を目的として雨量観測を行なっており、国土交通省河川局が所管する水文観測所としての雨量観測所は、全国で約2,800個所です。

2)概説
 大気から降下する水を降水と呼び、通常降水は雨と雪に大別されます。我が国では雪も含めた降水量の観測は、積雪寒冷地で必要になりますが、降雪積算は特に必要の無い限り、一般的に氷雪を溶かして水量(mm)で観測する等価水深観測により行なわれています。  降水量の測定単位は降水が平面に溜まったとした場合の深さ(mm)で表します。なお、降水観測は、河川の流域の地点における観測であるため、流域全体で代表するものではなく、地点雨量と呼びます。

3)観測方法
観測方法には普通観測、自記観測およびテレメータシステムによる観測があります。

(1)普通観測
 普通観測とは、普通雨量計による目視観測をいいます。観測は、毎日定時(原則として午前9時)に行われ野帳に記入されます。

(2)自記観測
 自記観測とは、記録器を有した器械による観測をいいます。つまり、新しい自記紙(デジタル印字された自記紙を含む)あるいはMTカセットや半導体メモリなどのデータ収録装置を記録器にとりつけ、記録器を正常に動作させるとともに、一定時間の後、記録された自記紙あるいはデータ収録装置をとりはずし、その記録を読取り整理します。

(3)テレメータシステムによる観測
 テレメータシステムによる観測とは、遠隔地で自動観測されたデータを、無線等によってデータ収集を行ない、工事事務所へ伝送する観測をいいます。

4)観測機器

 現在、一般的に使用されている雨量計は、普通雨量計、転倒ます型雨量計です。この他に寒冷地用としていっ水式雨雪量計、温水式雨雪量計、豪雪地域用には電磁弁式雨量計などがあります。

(1)普通雨量計
 直径20cmの受水口より入った降水の体積を目視で測定するものです。

(2)転倒ます型雨量計
 受水口を通じて、0.5mmまたは1.0mm相当の降水が流入するたびに転倒・排水するしかけのますを用いて、その転倒回数を電気信号に替え、記録して雨量を知るものです。

(3)いっ水式雨量計
 転倒ます型雨量計を主体にした計器で、受雪部が水槽になっていて、その中に一定量の不凍液を入れ、周囲からヒーターで一定温度に保温できるようになっているものです。

(4)温水式雨量計
 転倒ます型雨量計に温水による保温装置を設けてあり、寒冷地における降水・降雪から降水量を観測することができるようになっているものです。

(5)電磁弁式雨量計
 転倒ます型雨量計に漏斗と転倒ますの間に電磁弁を設け、転倒動作中は滴下を停止させ、転倒中には転倒ますに降水が滴下されないようできるようになっているものです。