水位観測

概説

水位とは、水面の高さを基準面から測ったものです。河川の水位は、流量の変化や河床の変動によって変化します。とくに河口水位や感潮部の水位はさらに潮汐や高潮・津波等による潮位の変動の影響を受けます。貯水池や湖沼の水位は広い面積を対象としているため、風による影響および蒸発による水位低下を示すことがあり、セイシュによる振動を示すことがあります。
水位は、河川を管理する目的で時々刻々観測されております。洪水時における水位観測は洪水予報や水防活動に重要な情報を提供し、また渇水時においては用水の取水量や取水位の管理に用いられています。
水位は原則として東京湾平均海面(T.P.)を基準として測ります。上流から下流あるいは隣接観測所間で水位の相互関係を明らかにするため、水位を基準面からの値にしております。このため、水位観測所には水準基標(水準測量のベンチマークであって、水準拠標とも呼ばれます)を設置し、その高さを予め基準面から水準測量で測っておき、この値から水位標の零点高を正確に測量し、記録しておくことが重要となります。
水位の測定単位はmとし、小数点以下2位(cm)まで表記します。


水位観測方法

1)観測方法

観測方法には普通観測、自記観測があります。

(1)普通観測
普通観測とは、水位標識による目視観測をいいます。観測は、毎日定時に、洪水時には毎正時に行われ野帳に記入されます。

(2)自記観測
自記観測とは、記録器を有した器械による観測をいいます。つまり、新しい自記紙(デジタル印字された自記紙を含む)あるいはMTカセットや半導体メモリなどのデータ収録装置を記録器にとりつけ、記録器を正常に動作させるとともに、一定時間の後、記録された自記紙あるいはデータ収録装置をとりはずし、その記録を読取り整理します。

2)観測機器

(1)水位標(量水標)
水中に立てた水位標によって水位を目視による直接測定するものです。

(2)フロート式水位計
フロートを水面に浮かべ、その上下の動きをプーリの回転を介して、水位計の内部機構によって水平軸の動きあるいは角度に変えて、記録して水位を知るものです。

(3)気泡式水位計
水中に開口した管からゆっくりと気泡を出し、その時の管内の圧力を圧力センサーで測定するものです。管内の圧力は大気圧と開口部にかかる水圧との和に等しいので、大気圧を差し引いた開口部の圧力から水位を求めることできます。

(4)リードスイッチ式水位計
観測地点の水中に設置した測定柱の気密室内に、リードスイッチを1cm間隔に配備した測定基盤が収納され、一体として製作されている隣り合った測管部には永久磁石を内臓したフロートが入っており、これが水位変化に追従して上下すると、水位に対応したリードスイッチが永久磁石の磁力により導通状態(ON)となり、このリードスイッチのONの位置を検知して水位を測定するものです。

(5)水圧式水位計
水位の変化に伴い、水中に設置された受圧部の受ける水圧の変化を機械的に測定するか、あるいは感圧素子によって電気記号に変換して、水深を測り水位を測定するものです。

(6)超音波式水位計
超音波送受波器を水面の鉛直上方に取り付け、超音波が水面に当って戻ってくるまでの時間を測定し、水面と超音波送受波器との距離を計測するものです。