我が国は、もともと災害を受けやすい地形・気象条件下にあるため、毎年各地で、台風や集中豪雨による水害や水不足が発生しており、深刻な問題となっています。また、近年潤いある水辺環境への期待も高まり、平常時における豊かな水量の確保等、河川環境の改善が求められています。このような諸問題に対応するためには、雨量、流量、水質等の水文水質の観測情報を恒常的かつ的確に収集し、その状況を把握することが必要です。
国土交通省では、全国の主要河川において雨量及び水位、流量、水質等の観測を実施しています。その成果は、河川等の計画立案、工事の実施及び管理等の基礎資料としてのみならず、国土調査等の基礎資料として広く利用されています。 水文水質の観測とは、広義には、地球上における水と物質の循環の個々の過程を定量的に把握する手段であり、その対象とする項目は多岐にわたっています。洪水災害を未然に防止するためには、降雨流出現象の解明や過去の水文データの統計解析に基づいた合理的な河川構造物の設計や洪水予測技術が必要であり、水文水質観測データはそのベースとして不可欠です。また、人間の社会経済活動は意図するしないにかかわらず水文循環に大きな影響を与えています。例えば、都市化による大規模な土地被覆の改変や人工構造物は自然の降雨流出形態を大きく変化させます。こうした影響を評価し、適切な対策を講じていくためにも長期間にわたる定常的かつ継続した水文水質観測データの蓄積とその解析の重要性は高いといえます。本データベースは、国土交通省各地方整備局において長年観測、蓄積されてきた水文水質データを収録しています。これらのデータを広く国民の皆様に公開することで、河川についてより一層の理解を深められることを期待します。 |
平成14年6月 国土交通省 河川局(現 水管理・国土保全局) |